コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー

心臓病を検出するAIの開発 日本のメーカーは様子見の傾向

慶應義塾大学医学部循環器内科助教の後藤信一氏(提供写真)

 また、AIに学習させる医療データ(個人情報)の扱いが厳しいことも、開発のしにくさの要因だ。その辺は米国と日本で何か違いはあるのか。

「日本と大きく違うのは、米国では『この項目を満たせば研究にデータを使ってもいい』という基準が明確なため、電子カルテのデータを使った研究を進めやすい点です。日本は規制が厳しいというよりも基準があいまいなため、研究者がどこをどこまでやれるのか分かりにくいのです」

 そのようなことからも日本の医療機器メーカーは、まだ“様子見”の傾向が強いという。それに比べて米国FDA(食品医薬品局)は、かなりハイペースで医療AIを認可している。現状では、欧米で先に臨床応用が進みやすいように思える。

 また、医療AIは「なぜその答えが出たのか分からない」という「ブラックボックス」を懸念する声がある。しかし、薬剤の治験(偽薬との比較)でも作用メカニズムの解明までは必ずしも求められていない。ランダムに振り分けた集団で比較して差があれば、承認・使用される。したがって、日本でも“医療の補助技術”として少しずつ受け入れられていくのではないかという。

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