巣ごもりGWだからこそ知る「ピルの効能」

知っておくべき避妊薬としてのピルとコンドームとの関係

(C)Vladimir Sukhachev/iStock

 この仕組みは妊娠した動物の卵巣からは排卵が起きず、次の妊娠が成立しないことをヒントに発見されました。つまりピルを飲むことで妊娠に似せたような状況を再現するので、「偽妊娠療法」とも呼ばれます。また、ピルに含まれるホルモンにはおりものをねばっこくして子宮内への精子の侵入を防いだり、子宮内膜を薄くして卵を着床させにくくしたりする効果もあります。

 ピルは「偽妊娠療法」と先ほど言いましたが、副作用も妊娠した場合とやや似ています。飲み続けていると吐き気がしたり、胸が張ったり、お腹が張ったりすることがあります。そこでこの副作用を解消するために21日間ピルを飲んだ後に7日間お薬を飲まない期間を作る低用量ピルの原型が開発されました。

 現在でも実薬を21日間程度飲んで、休薬(または代わりに偽薬を飲む)を7日おくことが最もスタンダードな避妊用のピルの飲み方です。休薬中の7日間には体の中でホルモンが急激に下がることで、子宮の内膜が剥がれ、出血が起こります。よってピルを飲んでいる間にも生理のような出血は月に1回程度起こります。

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佐野靖子

佐野靖子

ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科医師。順天堂大医学部卒。同大産婦人科入局後、非常勤助教を経て現職。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本女性医学学会専門医。専門は更年期障害、女性のヘルスケア。

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