最近では10代後半から治療のために低用量ピルを使用する女性も増えてきました。そこでよく聞かれるのが「低用量ピルを飲むと将来的に子供ができにくくなりませんか?」という質問です。
特に10代の娘さんをもつお母さんから聞かれることが多く、今後妊娠・出産を考えていく時期ですから心配になるのは当然のことだと思います。
低用量ピルは排卵を抑えるお薬です。そこで使用していると「排卵が起こりにくくなるのではないか」という懸念は以前からあり、事実を解明するために多くの研究が実施されました。その結果、製剤の種類によって若干の違いはあるものの、どの低用量ピルにおいても服用終了後3カ月以内に約90%で排卵が再開することがわかっています。
■低用量ピル中止後1年以内の妊娠率は84~88%
それでは実際に妊娠の希望があって低用量ピルを中止した場合、妊娠するまでにどのくらい時間がかかるのでしょうか。
2009年に「Obstetrics and Gynecology」に発表された論文では、低用量ピルを中止して最初の1周期目で21.1%、3周期目で45.7%、1年後には79.4%、2年後には88.3%に妊娠が認められました。その他の研究でも中止後1年以内に84~88%に妊娠が成立したと報告されています。また中止後の妊娠率は低用量ピルを飲んでいなかった人とかわらないことも報告されています。
もし低用量ピルを飲むなら短ければ短いほど影響が少ないのでは? と考える方もいるでしょう。
低用量ピルを2年以上使用した女性と、2年未満使用した女性で比べたところ妊娠率に差がなく、現在では低用量ピルの使用期間と中止後の妊娠率には関係がないと言われています。
■長期使用しても中止後妊娠しにくいことはない
多数の研究の結果より、低用量ピルを長期に使用しても、中止後に妊娠しにくくなるということはないとされています。私の周りでも複数の同僚が低用量ピルを飲んでいましたが、終了後に出産を経験しています。
妊娠する時期は女性の人生設計に大きく影響を与えます。まだ子供を持つ時期でないと考えているのであれば低用量ピルで避妊することを考えてもいいでしょう。生理痛がひどく、痛み止めが効かない、特に学校や仕事に支障を来すという場合も、低用量ピルでの治療を試してみる価値はあるでしょう。
巣ごもりGWだからこそ知る「ピルの効能」