上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓病の人はワクチンより感染で生じるリスクの方が高い

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 ワクチン接種による短期の副反応でいちばん怖いのはアナフィラキシーです。アレルギー反応の中でも特に重篤な症状を引き起こし、抗原が体内に入ることで複数の臓器や全身に症状が表れ、命に危険が生じる場合もあります。アナフィラキシーが起こる場合は、ワクチン接種から24時間以内がほとんどなので、接種当日に1日入院すれば万が一に備えることができます。

 ワクチン接種の経過観察入院は保険が適用されず自費診療になってしまいますが、超高齢者や基礎疾患をいくつも抱えている人にとっては、ワクチンに対する不安を払拭できる手だてになるのではないかと思うのです。

 ただ、順天堂医院は普段から病床が不足気味なので、実現したとしても週末だけという制限を設けることになるでしょう。急性期病院は週末になるとベッドが空く率が高くなるので、患者さんの状態と医療的な判断が合致すれば、そのタイミングを有効活用するのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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