占いなどを見ていると、「今日はピンクを取り入れると運が舞い込むかも!?」など、“ラッキーカラー”が紹介されていることが珍しくありません。それが本当にラッキーカラーかどうかは別にして、色彩によって人に与える印象が変わったり、自らの気分を向上させたりするのは事実。19世紀から研究が行われている色彩心理学という分野が存在し、科学的なエビデンスに基づき色を扱い、自分の気分を演出することは可能なんです。
たとえば、赤色。米ロチェスター大学のフェルトマンとエリオットの研究(2011年)では、被験者にパソコン上の仮想のテコンドーの試合で、赤色と青色の防具を着けて試合をさせたところ、赤色の防具の被験者の方がより優勢で、相手に威圧感を与えると感じたそうです。
別の研究では赤色のユニホームを着たゴールキーパーの方が、緑色や青色や黄色のユニホームを着たゴールキーパーより、ペナルティーキックが決まりにくかったという結果も。赤色を着用すると男性ホルモンのひとつであるテストステロンの分泌が通常より多くなり、心理的な気分の底上げにつながることが判明しています。
では勝負事の際は赤色を着用した方がいいかというと、そうとも言えないから面白い。赤色はモチベーションを高める一方で、威圧感を与えてしまう。赤色には興奮をあおる要素があり、攻撃性が強い色でもあります。カズレーザーさんのような芸人であれば個性として認識されますが、一般生活で赤色を取り入れ過ぎると、威圧感を与えかねません。
半面、差し色としての赤は効果的。同じくロチェスター大学のエリオットとニースタが行った、同じ人物に赤色、青色などのシャツを着てもらい、それぞれの印象を異性にヒアリングした有名な実験(08年)があります。それによると、赤色が最も魅力的に映ったといい、この効果を心理学の世界では「ロマンチックレッド効果」と呼んでいます。トランプ前大統領をはじめ、政治家が演説をするときに、あえて赤色のネクタイを着用して強いリーダーシップ感を演出するように、赤色を効果的に取り入れると、良い印象を与えるということを示す別の実験も存在します。
ちなみに、青色には食欲減退の効果があるといわれています。青色は、緊張状態である交感神経の状態を調整する働きがあるためイライラやストレスを抑えるのです。実際、青色の食べ物を見ると手が止まってしまうといった経験がある人は多いのではないでしょうか? 応用として、テーブルクロスやお皿を青色にすると暴飲暴食の抑制につながるかもしれません。また、知的に見えるなどクールな印象を与える色としても知られています。
赤色と青色を使い分けるだけで、人に与える印象を変えたり、自らのモチベーションをコントロールしたりする一助になる。好印象を与えるために、赤と青の法則を守る。“信号無視”をしないことがポイントですよ。
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