「マムシ咬傷」の治療法は医師任せ 抗血清の使用は5~6割

抗血清の使用は5~6割

 その代わり「セファランチン」という薬剤を注射する。数十年前から行われている治療だが、この薬は円形脱毛症などにも使われるもので、マムシ毒にどれだけ効果があるのか、本当はよく分かっていないというから驚きだ。

 またグレードにかかわらず「乱切」と呼ばれる治療が行われることがある。咬まれた部分を中心に、深さ数ミリ、長さ数センチにわたって皮膚に切れ目を何筋も入れて、毒を排出させるという治療だ。マムシ咬傷は外科医が担当することが多いため、乱切は全国の病院で行われている。しかし、これは効果がないばかりか、感染症のリスクが増してマイナス面が多いという意見もあるので、今後は減っていくかもしれないという。

「多くの文献には『破傷風予防のためにトキソイド(破傷風予防ワクチン)を注射せよ』と書かれています。しかしマムシに咬まれて破傷風になったという症例報告はほとんどありませんし、打たなくても問題ないという医者も少なからずいます」

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