笠井アナが訴える「患者用の病室WiFi設置」が一歩前進

フリーアナウンサーの笠井信輔さん
フリーアナウンサーの笠井信輔さん(C)日刊ゲンダイ

「ぜひとも病室にWiFiを!」

 フリーアナウンサーの笠井信輔さん(58)らが、病院に入院中の患者が病室で利用できる無料WiFiを開設してほしいと先月23日に厚労省で記者会見を開いた。

 笠井アナは、悪性リンパ腫の治療のため一昨年の12月半ばから4カ月半に及ぶ入院生活を経験。その期間中に新型コロナウイルスの感染が拡大したため、家族や知人と顔を合わせることができなくなってしまったという。

 病気だけでなく孤独とも闘った笠井アナを救ったのが、SNSやユーチューブといったインターネットを通じたコミュニケーションだった。記者会見に出席した笠井さんは、「コロナで3カ月、見舞いが来なかったが、複数の友人がオンラインで見舞いの会を開いてくれて非常に力づけられた」と語った。

 しかし、入院患者が病室でフリーWiFiを利用できる病院は非常に限られている。WiFiが医療機器に影響を与えるのではないかなどの疑念があるためだ。電波環境協議会の調査によると、日本の病院におけるWiFi整備は8割程度で、そのほとんどが業務用だという。患者が使用できるのはそのうちの2割に過ぎないのが現状だ。

 そこで、笠井さんは有志と一緒に「#病室WiFi協議会」を立ち上げ、患者が自由にネット接続ができる通信環境の整備を訴えてきた。そんな声が届き、政府の補正予算で病室にWiFiを設置するための補助金が付くことになった。

■補助金の申請期間は9月末まで

 笠井さんによると、WiFiによる医療機器への影響は研究によってほぼないことが判明しているという。また、患者自身のスマホでネット接続すればいいという意見に対しては、容量制限の問題があり、笠井さんは「自分のスマホでデータ通信をして毎月1万円近く追加料金がかかった」と、少なくない負担が発生する状況を説明。個人でルーターなどを契約して使うにも同じく患者の負担が増えてしまうことになる。

 それが今回の補正予算で通信関連設備への補助が付いたことにより、WiFiを開設する病院が増える契機になりえる。ただ、この補助金はコロナ感染拡大防止対策費でWiFi設置専用の補助金ではないため、病院側が申請しないと資金は下りないという。笠井さんは、「今回の会見はWiFi予算が付いたという“目標達成会見”ではありません。病院側の申請にはいろいろと高いハードルもある中で、『ぜひとも患者用WiFi開設のための補助金の申請をしてください』と病院の皆さんにお願いする会見でした」と訴える。

 申請期間は9月末まで。ひとつでも多くの病院にWiFiが開設されることを期待したい。

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