ワクチン体験記 接種後の高熱に備えて休みの前日に打ちたい

2回目の後は要注意
2回目の後は要注意(代表撮影)

 医療従事者や高齢者の先行接種がスタートしている新型コロナワクチン。

 16歳以上の一般向け接種が始まるのは7月以降になるとみられているが、その時に備え、すでに接種を終えた医療従事者の体験談を参考にしたい。

 ある基幹病院に勤務する40代男性のAさんは4月下旬に1回目の接種を受けた。会場は病院内にあるいちばん広いカンファレンスルームで、優に100人は収容できる。10分刻みのスケジュールで5人がそれぞれ個別に受け付けと医師による問診を済ませ接種に同意した後、5人の接種担当者が間隔を空けて待機している会場で接種を受けた。

「だらんと下げたままの腕に垂直に注射されるので、一般的なワクチン注射よりも“刺さっている”という感覚があり、痛みも強いと感じました。接種後は4時間ほどたった頃から筋肉痛のような強い痛みが出ました。腕が上がらないほどではありませんでしたが、それでも腕に力を入れるたびに痛みが強く出るので利き腕ではないほうの腕に接種するのがいいかもしれません。ほかに軽い頭痛もありましたが、こちらも寝込んでしまうほどひどくはありませんでした。どちらも翌日には治まったので、副反応は軽いほうだったのではないでしょうか」

 Aさんより前に接種を受けた同僚の多くは、接種後に38~39度の高熱を発症し、翌日は仕事を休むケースが相次いでいたという。

「接種する際、希望者には解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン錠が3日分渡されるので高熱や激しい痛みがある場合はそれを飲んで対処します。周囲の話を聞くと、仕事を休むくらいの高熱やひどい頭痛、関節痛などの副反応は2回目の接種の後に起こりやすい印象です。すでに2回目の接種を終えている人はほぼ何らかの副反応が出ている感じです。私は5月中旬に2回目の接種を受けますが、休みの前日にする予定です。休日や勤務時間が不規則な看護師も同様のスケジュールで接種を受けている人が多いようです」

 一般接種は自分が希望する日程の予約がとれないケースが多いと予想されるが、可能な限り、重要な仕事や予定がある前日に接種するのは避けたほうがよさそうだ。

■接種後30分は安静にして様子をみる

 また、Aさんが勤務している病院ではおよそ500人の医療従事者がすでに接種を受けたというが、3人に「アナフィラキシー」の副反応がみられたという。アナフィラキシーは抗原が体内に入ることで表れるアレルギー反応で、複数の臓器や全身に急激な反応が出る。血圧低下や意識障害を伴って命の危機が生じるアナフィラキシーショックを引き起こすケースもある。

「アナフィラキシーの副反応が起こった場合を想定して、ワクチン接種後は会場に設置された待機所で15~30分ほど安静にして様子をみる決まりになっています。アナフィラキシーは接種後15分以内に起こることが多いからです。いきなりショック状態になって重篤な症状が出るのは極めてまれで、ほとんどは発疹が出たり、唇や舌が腫れるなどの軽い症状が表れることで判明します。アナフィラキシーがあった場合、アドレナリンを注射する処置ですぐに回復します。軽い場合は抗ヒスタミン薬の注射のみで治まることも多く、当院でも全員すぐに回復しました」

 ワクチン接種が進んでいる米国のCDC(アメリカ疾病対策センター)の報告によれば、ファイザー社の新型コロナワクチンでは100万人当たり5・0人にアナフィラキシーが起こっている。ワクチン全体でみると1・3人なので、頻度は高いと考えたほうがいい。接種して30分はその場で自分の体調に異変がないかどうかをしっかり確認し、不安があればすぐに報告したい。

 厚労省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会では、ワクチンを接種した医療従事者を対象にした副反応の調査結果が報告された。それによると、1回目の接種では3・3%だった37・5度以上の発熱は2回目で38・4%、38度以上の発熱も1回目が0・9%、2回目は21・5%と、2回目の接種後で増えている。また、倦怠感や頭痛といった全身症状も同様だった。

 1回目の接種は問題なかった人でも、2回目は副反応が出る可能性が高くなるので注意したい。

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