Dr.中川 がんサバイバーの知恵

がん患者のコロナワクチン副反応 健康な人より小さい意外性

必ず2回接種を(C)ロイター

 新型コロナウイルスとの闘いでカギを握るワクチン接種が、高齢者で少しずつ進んでいます。高齢者は持病がある方も多く、がんの方は珍しくありません。そこで気になるのが、がん患者のワクチン接種の安全性でしょう。

 がん患者のワクチン接種については先月27日、医学誌「ランセット オンコロジー」が興味深い研究結果を掲載しています。厚労省が計画するワクチン接種スケジュールでは、高齢者の次に基礎疾患がある方が対象。14分類の一つが「免疫の機能が低下する病気」としてがんが挙げられますから、年齢に関係なくがんの方には気になるテーマだと思います。

 調査は、大腸がんや乳がんなど血液系ではない固形がん95人、血液がん56人、健康な方54人に分けてファイザー社製ワクチンの効果と安全性を追跡。まずワクチン接種で抗体ができる割合を紹介すると、1回目接種の21日後、健康な方は94%でしたが、固形がん38%、血液がん18%でした。

1 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事