Dr.中川 がんサバイバーの知恵

がん患者のコロナワクチン副反応 健康な人より小さい意外性

必ず2回接種を(C)ロイター

 がんの方には心配なデータですが、重要なのは2回目です。2回目接種の14日後は、固形がんは95%と、健康な方の100%に遜色ない数値に上昇。血液がんも60%に増えています。

 2回目をサボると、健康な人は86%が抗体を維持できたものの、固形がんは30%、血液がんは11%に低下しました。この結果から分かるのは、がん患者は2回接種を守ること。これに尽きます。「1回受けたから大丈夫」と軽く考えてはいけません。

 次に安全性について。問題(副反応)がなかったのは、1回目接種後はがん患者は54%で、健康な方は38%。2回目は、がん患者71%で、健康な方は31%。がん患者で最も多い局所反応は痛みで、全身反応は倦怠感と頭痛ですが、頻度も強さも健康な方より少なく、小さい傾向です。ワクチンによる死亡もなく、安心して接種していいと思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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