名医が答える病気と体の悩み

「暗い部屋で本を読むと目が悪くなる」のは本当か?

眼科医の荒井宏幸氏(提供写真)

 目は水晶体をカメラのレンズのように調節し、ピントを合わせます。毛様体筋という筋肉が調節していますが、眼精疲労によってこの筋肉の動きが悪くなるとピントが合いづらくなり、長期的には視力の低下につながります。

 また、「暗い部屋で本を読む」シチュエーションは恐らくベッドなどで横になっていると思いますが、その際、眼球は自律神経によって外側に回転します。これを「回旋」と言います。寝た状態で本を読むときには、目の周りの筋肉(外眼筋)を使ってこの回旋を戻す必要があり、余計に疲れてしまいます。電車や車内で読書をするときにも同様に視線を固定するために外眼筋を使わなければならず、眼精疲労の原因となります。

 暗い場所で読書することは複数の要因から目に負荷を与えていることは確かといえるでしょう。

▽荒井宏幸(あらい・ひろゆき) 1990年防衛医科大学校卒業後、同大学付属病院眼科、93年自衛隊中央病院眼科および国家公務員共済組合三宿病院眼科、96年岡田眼科眼科部長、98年クイーンズアイクリニック院長、99年みなとみらいアイクリニック(旧南青山アイクリニック横浜)・主任執刀医、2010年からは医療法人社団ライト理事長も務める。

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