コロナ第4波に備える最新知識

ワクチン接種前の「準備」や「接種後の検証・広報」は十分なのか

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受ける医療従事者
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受ける医療従事者(C)共同通信社

 政府はワクチン接種に躍起だ。厚労省は不足していたワクチンを確保したとして3600万人の高齢者への2回目接種を7月末までに終えるよう、各自治体に要請。東京と大阪では国営の大規模ワクチン接種会場を設置し、自衛隊の医官や看護官により1日1万人規模の接種を行うという。神戸市は歯科医師も動員して1日1000人以上の接種を目指すことを発表した。

 しかし、大規模接種会場を設けることは新たな「人流」と「密」を発生させ、新たな感染源になりかねないなど、実行には問題山積だ。

 そもそも政府は接種数ばかりを気にしているが、接種前の「希釈」「充填」作業は大丈夫か。

「現在接種されているファイザー製ワクチンはマイナス90~60度で保存され、2~8度の冷蔵庫で解凍した場合は5日以内に生理食塩水で希釈して投与します。希釈後は2~30度で保存し、6時間以内に使い切らなければなりません。冷蔵庫を使わずに室温解凍なら2時間以内に希釈して投与することになっています。むろん、ワクチンを注射器に正確に充填しなければ予定人数に打てません。それらが正しく行えるのか心配です。下手をすればせっかくのワクチンが無駄になりかねません」(都内の薬剤師)

「接種後の情報発信」が消極的に見えるのも気になる。例えばワクチン接種後の副反応だ。厚労省は「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」で「副反応をなくすことは困難」と明記し、その数も公表している。しかし、「副反応は接種総数の0・1%程度に過ぎない」という専門家が多く、積極的に情報発信されてないように見える。

「医療機関からの副反応疑い報告について」(4月25日現在)によると、医療機関から「関連有り」として報告されたうち、「副反応疑い」は3186件、「うち重篤」384件。医療機関から「関連無し」または「評価不能」として報告されたうち「副反応疑い」は1216件、「うち重篤」は127件、「死亡」は12件。報告がないものを含めればかなりの数になるはずだ。

 接種後の感染情報はどうか。米国では2回接種を終えた7700万人のうち5800人が感染し、396人が重症化して74人が死亡したなどと発表している。日本では、まとめての発表は4月15日までにワクチンを接種した人のうち、接種後の感染が確認されたのは231人。うち205人は1回目の接種後だったとの報告がある程度。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「集計のタイミングもあるでしょうが、接種後の情報は、論文を含めてもっと機敏に広報すべきだと思います。例えば接種後の感染の原因は、ワクチンで十分に抗体が作られなかったから、とされていますが、本当にそれだけなのか。日本はPCR検査数が少ないうえ、鼻の奥の検体だけではわからない、腸管などでの感染が続いていることも考えられ、感染者数は想像以上に多い可能性がある。症状が出ないのは、自身の免疫により新型コロナと共存しているからで、ワクチン接種でこのバランスが崩れることはないのか。感染していない人も接種で一時的に感染しやすい状態になる可能性はないのか。ワクチン接種を進めたいなら、一般の人が抱えるこうした疑問にも丁寧に答えるべきではないでしょうか? また、接種後の感染を考えて、1回接種後2週間は極力人に接しないよう、自宅待機を呼びかけるくらいはやってもいいのではないか、と思います」

 感染力の強い変異株にしても、ワクチンで従来株を強力に制圧した結果ではないか、との見方もある。ワクチンは打てば良し、ではないはずだ。

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