秒速薬膳でアッという間に健康に

「心」をサポートするカキと卵のタッグで憂鬱な気分を改善

チャイニーズカキたま丼
チャイニーズカキたま丼(提供写真)

 ゴールデンウイークが終わったら、なんとなく体調が優れない。ヤル気が出ないし、なんだか憂鬱で会社に行きたくない……。もしかして五月病!?

 気分の落ち込みは中医学で「心」と呼ばれる臓器と関わりが深いとされています。心は血脈と血液をつかさどる臓器で、弱ると息切れや不整脈、心筋梗塞、狭心症などのトラブルを起こしやすくなります。また、心は意識や思考感情などの精神活動をコントロールする働きもあります。中医学では、脳の働きは心と関係が深いと考えるのです。ですから心が弱ると、不安感、落ち込みやすい、くよくよ思い悩んでうつ状態になる、無気力といったトラブルが表れやすいのです。

 また、現代人の大きな悩みである「不眠」も心の働きの低下が関わっています。眠れたとしても眠りが浅く、やたらと夢をたくさん見て寝た気がしないといった状態になりがちです。

 落ち込んだ気持ちを癒やし、明るく前向きな気持ちを取り戻すためには、心に働きかけてその機能をパワーアップし、精神を安定させる食材を取り入れることが大切です。

 お薦めはカキ。その効能は「養心安神」とされ、読んで字のごとく「心を養い、精神を安定させる」働きがあるのです。中国ではカキの殻を砕いたものが不眠・精神安定の生薬として使われているほど。もちろん、身の部分にも優れた効能があります。シーズン以外は、「カキの薫製缶」で手軽に摂取可能です。

 野菜ではレンコンが効果的。不安感を解消して、安眠を促す働きがあります。また、肉類は鶏や豚のハツ(心臓)が改善に役立ちます。中医学では「同物同治」といって、体の弱りは同じ臓器で補うという考え方があるのです。焼き鳥屋や焼き肉店に行ったときにはぜひオーダーを。

 薬膳でよく使われるナツメも、精神安定に威力を発揮します。心身の疲れを回復して、不眠も解消する優れた働きがあるのです。最近では中華食材コーナーに乾燥したものが販売されているので、症状が気になるときはぜひ試してみてください。煮出してお茶として、また味にクセがないので汁ものや煮ものに入れて一緒に煮込んで使うとよいでしょう。

 そのほか、卵、牛乳、ブドウ、ハチミツ、ココナツも心をサポートして、穏やかな気持ちを取り戻す「癒やし系食材」です。

■うつを解消 薬膳レシピ


チャイニーズカキたま丼

 心の働きを高めて精神を安定させる効果が高いカキと卵を組み合わせた丼。カキの薫製缶を使えばスピーディー。缶の汁にオイスターソースなどを加えたタレで、コクうまな味わいに仕上がります。

【材料】
●カキ薫製缶(60グラム)  2缶
●温泉卵  2個
●ご飯  丼2杯分
●刻みネギ  適量
●タレ(薫製缶の汁、醤油・オイスターソース・ごま油=小さじ2、すりおろしニンニク=少々)

【作り方】
 丼にご飯を盛り、カキ薫製缶の身、温泉卵をのせて、混ぜ合わせたタレをかけ、刻みネギを散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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