「途中から記憶がない」は問題飲酒…飲み方を変えるポイント

飲み方を見直そう
飲み方を見直そう

 お酒を飲んだ時、「荷物をどこかに忘れた」「気が付いたら最寄駅ではないところにいた」「途中から記憶がない」「素面になってから思うと、よくわからない理由で口論になった」「覚えのない写真がスマホに残っている」「転んでケガをした」……。どれか一つでも該当する人は、お酒との付き合い方を見直した方がいいかもしれない。

「すでに『問題飲酒』の域に入っていると考えられます。繰り返し、社会的損失や身体的損失が伴う飲み方は、アルコール依存症またはその予備軍が疑われます。このままいけば、深刻な問題が生じる可能性があります」

 こう言うのは、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん。神奈川県鎌倉市の「大船榎本クリニック」で、長年アルコール依存症の治療などに当たっている。

 お酒が好きな人であれば、今後も楽しくお酒と付き合っていきたいと思うだろう。そのためにも、飲み方を見直してみてはどうだろう? 外で気軽に飲めなくなった今が、ちょうどいいチャンスかもしれない。斉藤さんに、お酒をやめる、あるいは減らすコツを聞いた。

「最初に、自分がどれくらい飲んでいるかを知るべき」

 お酒を飲んだ日はカレンダーに印を付ける。その日に飲んだ量をメモする。もともと適量飲酒の人は別にして、日頃から多量飲酒していた人は、量を可視化することで、「これは、体にもお財布にも、良くない」と思うかもしれない。

「お酒を飲むときは必ず食事を取りながらにする。また、お酒の代わりに炭酸飲料を飲むことで、飲酒量を減らせられる人は少なくありません」(斉藤さん)

 記者の友人にも、炭酸水を作る機械を購入し、酒量が激減した人がいる。「ハイボールが好きで飲んでいたのではなく、シュワシュワシュワという喉越しが好きで飲んでいたことに気づいた」とのこと。今は、ノンアルコールビールをはじめ、ノンアル飲料が結構売られているので、それらを応用するのも手だ。

「有酸素運動もアルコール摂取量を減らす上で役立ちます」(斉藤さん)

 有酸素運動が心を安定させる脳内ホルモンを分泌し、またストレス解消効果もあるので、減酒につながる。ちなみに、記者は大のお酒好きだが、スポーツジムに通い始めたことで、お酒を飲み始める時間が遅くなり(スポーツジムへ行く前は、休日は昼からワインを飲んでいた)、結果的に休日の酒量が減った。お試しを。

 ただし、これらを実行しても「問題飲酒」が続くようなら、早い段階でアルコール依存症を診る医療機関の門を叩いた方がいい。断酒一辺倒ではなく、「減酒」を目標とした取り組みをしているところもある。まずいかも、と思ったその時が、行動を起こす時だ。

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