新型コロナワクチンの疑問に答える

「インド型」と呼ばれる二重変異ウイルスはどのようなものか

酸素不足の危機に…(C)Prabhat Kumar Verma/ZUMA Wire/共同通信イメージズ

【A】「コロナウイルス(RNAウイルス)の構造は1本鎖で、複製する役割を果たす対の鎖を持っていないので、RNA同士を複製し、自らを増やし続けます。その過程で塩基配列(核酸を構成するRNAの構成要素の配列)のコピーミスが起これば、変異したRNAウイルスが出現します。そのため変異に際限はなく、理論上は四重、五重ウイルスが出現することも考えられます」

【Q】病原性の強いインド型の変異ウイルスにワクチンは効くのか

【A】「RNAウイルスは一度変異を起こすとそれを修復する遺伝子がないので、非常に高い確率で新しい変異ウイルスが出現するのが特徴。治療薬が確立していない現在、まずは、感染が少ないうちにPCR検査をし、拡大を抑えること。ワクチンの有効性を高めるには、二重、三重変異ウイルスのmRNAを従来型ワクチンに追加する方法が考えられます。または従来型のワクチンを打つ回数を2回から3回に増やすなどでも、十分な予防免疫が得られるでしょう」

3 / 3 ページ

奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

関連記事