「下流クラスター」を収束させるにはやはり検査の拡充が必要

成田空港で帰国・入国者のPCR検査を行う検疫担当者(C)共同通信社

 現在、日本のPCR検査数は増えてきたとはいえ、これまでの総数は約1200万件。人口が1億2000万人だから人口あたりの割合は1割にとどまっている。人口8300万人のドイツでは5700万件、人口6600万人のイギリスは1億2600万件、人口3億3000万人の米国は4億2600万件の検査が行われていることを考えると、まだまだ少ないのが現状だ。

「クラスターが発生した医療機関や高齢者施設を見ると、有症の感染者が出た場合、感染症学会の指針にもあるように、その周辺をかなり広範囲に検査しなければさらなる拡散は防げません。これまでのような有症者や濃厚接触者だけの検査では、クラスターの把握すらできません。今後さらなる下流クラスターが生じるとみられる医療機関、高齢者施設、職場、学校などで変異株の評価もできるPCR検査の拡充を進めていかなければ、早めの収束は困難です」

 第4波を乗り切るためには、ワクチンに淡い期待を寄せる前に、あらためて「密を避ける」「PCR検査拡充による隔離」という感染症予防の基本に立ち返る必要がある。

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