Dr.中川 がんサバイバーの知恵

男女とも喉頭がん経験者トップ 2度目のがんのリスクと予防

食べ過ぎ、飲み過ぎに注意

 第2のがんの死亡リスクはどうでしょう。男性は、胆のうがんサバイバーが3・8倍で、女性は咽頭がんサバイバーで4・6倍です。

 第2のがんで、男女とも喉頭がんの発症リスクが最高なのは見逃せません。喉頭がんは喫煙が強いリスク因子で、その影響が残りやすいことを象徴しています。一般に禁煙によるがんの罹患リスクが生涯まったく吸わない人と同じレベルになるには20年以上。ミクロレベルのがんが1センチ前後に顕在化するまで10~30年かかることから、第2のがんは第1のがんと並行して大きくなっていた可能性もあります。

 論文でも、喫煙関連のがんのサバイバーは、男女とも2つ目も喫煙関連のリスクが高いことを報告。肥満関連や飲酒関連なども、同じタイプになるリスクが高いことが明らかになりました。

 生活習慣が2つのがんに影響しているということは、生活習慣の改善が2度のがん予防に貢献する可能性も十分。人生100年時代、第2のがん予防のためにも、喫煙、肥満、飲酒、どれかひとつでも改善しましょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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