コロナ病棟に勤務してから時々頭をよぎるのが、「私はなぜ、看護師になったのか?」ということです。「患者に寄り添う、心も寄り添う」そんな看護を目指していたはずでした。がん患者の終末期の時も、常に患者さんの心に寄り添った看護がしたいと考えてきました。
それがコロナ病棟では、なるべく患者さんから離れて看護をしなければなりません。診察や体位を変えるために患者さんのところまで出向いた時でも、「よろしいですね」と確認してすぐに離れ、患者さんのそばに長くは居られません。患者さんから手を差し出されても、握ることはできません。主にモニターを見て、酸素濃度、血圧、心電図、呼吸数などをチェックするだけの看護なのです。現実は分かっているつもりですが、「私がやりたいと思っている看護ではない」と考えてしまいます。
コロナの患者さんが亡くなると、余計にそう感じます。あの方には何もしてあげられなかった……もっと言いたいことがあったのではないか……そう思うのです。
がんと向き合い生きていく