春に新生活がスタートし、慣れない日々で生活のリズムが乱れている方も多いのではないでしょうか。生活のリズムが崩れると、睡眠時間が十分にとれなかったり、逆にストレスや疲れから長時間寝てしまう……といったように、睡眠にも乱れが生じます。睡眠は心と体の休息にとても重要で、健康や生活の質にも大きく影響します。とりわけ、睡眠不足は生活の質を低下させることから、良質な睡眠をしっかりとることが大切です。
「睡眠不足」や「不眠」は、単純に睡眠時間が短いことを指すものではなく、「本人がストレスを感じるか」というところがポイントです。不眠の原因は、ストレス、不安、薬、環境要因などさまざまで、対処法も異なりますが、大切なのはストレス発散やリラクセーションといった心のケアになります。
それでも、どうしても眠れない場合には睡眠薬を使用する選択肢もありますが、睡眠薬のほとんどは処方せんが必要なので、医療機関の受診が必要です。以前はベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠導入剤が多用されており、ふらつきや転倒リスク、認知機能への影響が問題となっていました。また、緑内障の患者さんなどで使えないケースもありました。
現在では、より安全な非ベンゾ系の薬に加えて、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラやデエビゴ)、メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)といった睡眠を調節する新しいタイプの薬が一般的に使われるようになり、より安全に薬で睡眠調節ができるようになってきています。とはいえ「薬」ですから、量が多ければ「持ち越し効果」(眠気が起床した後も残る現象)が表れるケースもあるので、用法・用量は医師の指示通りしっかりと守る必要があります。
もっとも、薬による睡眠導入は根本的な治療ではありません。生活や睡眠習慣の見直しも重要です。
身近な病気の正しいクスリの使い方