■濃度も低く、運動能力が劣化
外来、入院、ICUに分類して精液所見を見ると、精液検査による総精子数は、外来は1億3325万個(中央値=以下同)、入院は3810万個に対し、ICUは0個。精子の生きている割合は、外来59%、入院49%だったが、ICUになると0%だった。
ドイツの研究でも、コロナに感染して回復した84人と、同年代の健康な105人の精液を60日間、10日間隔で調査。感染者は健康な人に比べて精子に悪影響を与える炎症や酸化ストレスを示す数値が有意に高かった。
また、イランの研究では、コロナに感染した男性は健康な男性に比べて精子の数が少なく、濃度が低く、精子の運動能力が劣っており、形状異常の精子が多かったことも報告されている。
「コロナウイルスは細胞のACE2というタンパク質に結合して感染します。ACE2は精子が作られる精細管の細胞に分布しているので、精巣もコロナの標的となり、感染することで精巣組織に損傷を起こすことは想像できます」