独白 愉快な“病人”たち

直腸がん克服 アクション俳優の松田優さん救った握力グリップ

松田優さん(C)日刊ゲンダイ

 決定的だったのは、妻の付き添いで行った病院で、妻が先生に血便の話をして強引に触診をされたときです。「すぐ内視鏡検査だ!」となり、大きな病院を紹介され、検査した結果、肛門近くに数センチの腫瘍があり、がんだと告知されたのです。

 年配のベテラン医師は慣れた感じで「ああ、これはがんだわ。直腸にこんなのできちゃってるよ」と親指と人さし指で丸をつくって示し、「本当ですか? 大丈夫ですかね?」と驚く私に、「そんなもん、手術してみなきゃわからないよ。まあ、もしかすると危ないかもしれないよ」という調子でした。芝居で自分が演じた告知シーンとは随分違うなと思いましたね。

 妻に早速、電話をして一部始終を話すと、「そんな医者に命を預けられない」と大急ぎで評判のいい医師を探してくれて、セカンドオピニオンを受けました。

 がんの場所が肛門を締める括約筋のすぐ近くだったので、肛門を残すのは大変難しい手術でした。でも、腕がいいと評価されているその先生が括約筋を残してくれたのです。周辺やリンパ節などにがんが飛んでいなかったこともラッキーでした。でなければ、アクション俳優としては終わっていたかもしれません。

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