上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心房細動のほとんどは「左心房」が原因で発症する

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 拍動は電気信号によってコントロールされていて、電気信号は右心房と上大静脈の境界にある「洞房結節」という部分から発生します。生じた信号は右心房と右心室の境界にある房室結節に伝わり、さらに心臓全体に広がっていきます。つまり、右心房はペースメーカーの役割を担っているのです。

 この右心房で生じる電気信号が、心臓の別の場所から無秩序に発生することで起こるのが「不整脈」です。電気信号がうまくコントロールできなくなるため、拍動が不規則になります。1分間に60~80回の規則的な拍動が、50回未満に減ると「徐脈」、逆に100回以上に増えると「頻脈」と呼ばれます。また、拍動のタイミングがずれる「期外収縮」というタイプもあります。

 期外収縮はよく見られる不整脈で、多くの場合は気にする必要はありません。ただ、期外収縮がきっかけで起こる「心房細動」は注意が必要です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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