時間栄養学と旬の食材

ビタミン豊富なパプリカは「色」によって味と栄養素が変化

パプリカ
パプリカ

 色鮮やかなパプリカは、ナス科トウガラシ属に分類される野菜。学名も「Capsicum annuum」とピーマンや唐辛子と同じ仲間です。日本では、果実色の特徴から通称「カラーピーマン」と呼ばれることもありますが、ピーマンとは栽培品種が異なり、成熟してから収穫されるパプリカは未熟な状態で収穫されるものより栄養価が高く、大型で肉厚、ジューシーで甘味が強いことが特徴です。

 旬の時期は7~10月ごろで6月はそのはしり。成熟の具合によって色が変わり、一番早く収穫したものが黄色、そこから熟していくにつれてオレンジ、赤と色が変化し、色によって味と栄養成分が異なります。

 赤はほんのりと甘味があり、カプサンチンという色素成分があり、抗酸化作用やがん予防が期待できます。活性酸素を消去する抗酸化作用を持つビタミンC、免疫力アップに効果的なβ―カロテンも豊富です。実はビタミンCはパプリカから発見された成分で、発見者はノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

 パプリカのビタミンCは100グラム当たり170ミリグラムとピーマンのおよそ2.2倍含まれています。また、β―カロテンも100グラム当たり1100マイクログラムで、ピーマンの2.75倍も含まれています。

 黄色は少し苦味がありますが強い抗酸化作用があるα―カロテンが100グラム当たり71マイクログラムも含まれています。これはピーマンのおよそ11.8倍です。また、強い抗酸化作用があり、目の健康維持に役立つゼアキサンチンというカロテノイドの一種の色素も持ちます。

 オレンジ色は苦味がなく甘いことが特徴です。赤パプリカと黄パプリカ両方の栄養素がバランスよく含まれています。

 その他にも強い抗酸化作用を持ち、体の老化を抑える効果があるビタミンEも豊富。悪玉コレステロールの酸化を防止して動脈硬化を予防するなどの効果が報告されています。ビタミンが豊富なので、朝に取りたい栄養素です。

 そんなパプリカですがβ―カロテンやビタミンEは脂溶性。油で調理することで吸収率がアップします。ビタミンCは熱に強いものの、長時間の加熱で壊れてしまいます。サラダとして生食し、オイルドレッシングをかけるとよいでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事