コロナ禍の自粛生活長期化で“新・生活習慣病”が蔓延

体調変化の予防のポイントはお茶に?

 コロナ禍で長期化している自粛生活が、認知機能の低下やコロナ太り、血糖値や血圧の上昇など、さまざまな不調を招いていることが問題視されている。

 新・生活習慣病とも呼べるこうした体調の変化を改善するにはどうしたらいいのか。

 その目からウロコのヒントを「コロナ禍においてクローズアップされる新・生活習慣病と茶カテキン」をテーマにして開催された「伊藤園健康フォーラム」のパネルディスカッションの中で見つけた。

工藤内科院長の工藤孝文医師
期待される茶カテキン効果のあれこれ

「外出自粛の中で体内リズムが乱れ、そのストレスによってコロナ太りや血糖値・血圧の上昇を引き起こしていると考えられます。ストレスがかかると睡眠の質が低下し、過食ホルモンがたくさん分泌されます。その結果、内臓脂肪が増えて、高血圧、糖尿病、脂質異常症が悪化していくという負のスパイラルに入ってしまうのです」とは、福岡県みやま市にある工藤内科院長の工藤孝文医師。

 体内リズムの崩れによるコロナ太りを防ぐにはどうすればいいのか。

「私は、お茶をふりかけにして食べる『出汁緑茶』を患者さんにお勧めしています。緑茶の成分には脂肪を分解するカテキンや、ストレスからのドカ食いを防ぐテアニンも含まれており、緑茶を食べることによって食欲制御、脂肪燃焼効果が期待できるのです」

ブレインケアクリニック名誉院長の今野裕之医師

 一方、いつも病院でうつ病や神経症、認知症の患者さんを診ているブレインケアクリニック名誉院長の今野裕之医師は、「コロナ禍で不安感が募り、それまで症状が安定していた患者さんのうつ症状の悪化や、認知機能の低下などの変化が見られるようになった」と話す。

「外に出て運動することや、人と会話しコミュニケーションを図ることは脳への刺激になっています。それが自粛生活の長期化で失われてしまったことが認知機能の低下に大きく影響していると考えられます」

 その認知機能低下の予防にもお茶が良いと今野医師は言う。

「茶カテキンには認知機能低下の予防に役立つ抗炎症作用や神経保護作用などがありますし、原因物質とされているアミロイドβタンパクの蓄積を予防する効果も報告されています。実際、疫学的な調査で1日2杯以上お茶を飲んでいる人は認知症になりにくいという結果も出ています」

 緑茶を飲む習慣は、認知症予防に役立つと考えられるのだ。

東京大学大学院医学研究科イートロス医学講座の米永一理特任教授
「含み飲み」という新習慣

 常にマスクを外せない状況が続き、口腔環境の悪化を気にする人も増えている。

「歯垢1グラムあたりに菌が1000億個あるといわれています。それらが影響する歯周炎などにお茶が効果的であることがわかっており、口臭に対しても効果が期待できると考えています。大事なポイントは『含み飲み』をすることです。数秒ほど口の中に含んでから飲み込むことで、お茶の殺菌効果が高まります」とは、東京大学大学院医学研究科イートロス医学講座の米永一理特任教授。

 また、京都府立医科大学大学院医学研究科免疫学の松田修教授は、論文査読中の内容であるが「緑茶やほうじ茶に含まれる茶カテキンは、ヒトの唾液の中にある新型コロナウイルスの感染力を抑制することが分かっています」と、報告をする。

「あくまでも試験管での研究の段階ですが、唾液にウイルスを入れ、それを緑茶で抑制できるかを調べた結果、ウイルスを強力に抑制しました。つまり、お茶には飛沫感染の拡大を抑制する公衆衛生的効果があると考えられるのです」

 お茶の「含み飲み」習慣を、この機会にぜひ身につけたいものである。

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