がんと向き合い生きていく

コロナ禍の面会制限 「最期のタイミング」を合わせるのは難しい

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「今のところ、B病院の緩和病棟はコロナのために空けろとは言われていません。それでも、医師も看護師も院内コロナ病床へ、そして他院への派遣は余儀なくされています。また、10分という厳しい面会制限の中、『患者と家族の最期のタイミングは合わせたい』と思うストレスは多大で、ナースは疲弊しています」

 コロナの流行からもう1年半以上も病院の面会は制限され、家族と顔を合わせるのはスマートフォンの画面だけという入院患者が多くなりました。それでも、退院できる患者はなんとかガマンできるかもしれません。しかし、看取りにおいてはどうでしょう?

 面会時間の制限から、緩和病棟に勤める医師や看護師が「最期のタイミングを合わせたいと考えるストレス」は、なかなか厳しいものだと思います。命がいつ終わるのか。ぎりぎりになっても、そのタイミングは分からないことが多いのです。たくさんの患者の看取りの経験をしても、そうなのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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