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線虫がん検査<上>検体解析装置の完全自動化で実用化が可能に

検体解析装置(HIROTSUバイオサイエンス提供)

 においをキャッチする嗅覚受容体様遺伝子(センサー)は、人間では約400種類、嗅覚に優れていることで知られる犬が約800種類、シー・エレガンスは、さらに多い約1200種類を持っているという。

 このようにN―NOSEは、受検者の尿でがんのリスクを調べる「がんの1次スクリーニング検査」になる。具体的には、シャーレ(容器)の中央に50~100匹の線虫を配置し、シャーレの片側に希釈した尿を置く。30分間静置させ、線虫の行動を解析する。これを同一の尿で複数回繰り返し検査する。

 これまで手作業で行っていた工程の完全自動化に成功したことで、線虫がん検査の実用化が可能になったわけだ。

「線虫が反応することが分かっているがん種は、胃、大腸、肺、乳、膵臓(すいぞう)、肝臓、前立腺など15種類の固形がんで、1度の検査で全身のがんリスクを調べることが可能です。検査の精度は臨床研究において、感度86.3%という結果を得ています。ステージ0や1の早期がんでも高い感度で反応します」

 次回は同社が全国展開を始める、自宅にいながら線虫がん検査が受けられる新サービス「N―NOSEathome」を紹介する。

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