改訂されたガイドラインではまだそこまで踏み込んではいませんが、いずれ、何か心臓にトラブルがある患者さんに対して過剰な検査を行い、「将来的に僧帽弁閉鎖不全症が悪化するリスクがあります。今の段階でマイトラクリップをやっておいた方がいいですよ」などと誘導するケースが出てくる可能性が考えられます。もしそうなれば、本来なら必要のない高額な医療費を支払う患者さんがどんどん増える事態にもなりかねません。
さらに深く考えると、医療機器メーカーの“思惑”も見え隠れしています。ガイドラインでマイトラクリップが適用となる患者さんが増えれば、それだけ治療器具(デバイス)が売れることになります。また、マイトラクリップを行う患者さんを見つけるにはそれなりのエコー機器が必要ですし、早い段階でマイトラクリップを実施するためにハイブリッド手術室を設置しなければならない施設要件もあるでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」