進化する糖尿病治療法

正常値で心臓病がない人も薬で血圧を下げると健康メリットあり

血圧が5㎜Hg低下すると心臓病リスクが10%低下

 75歳未満は診察室血圧で130/80㎜Hg未満を、75歳以上で140/90㎜Hg未満を目指すとしたのです。この目標値は目安であり、個々の状態から医師が判断し、最終的に決定する形になります。

 一方、血圧が正常で、心筋梗塞や脳卒中を起こしたことがない人は、どうか? 英国のオックスフォード大学の研究者らが1972~2013年に発表された降圧薬治療に関する主要ランダム化試験のメタ解析を実施。発表したのは「正常血圧や正常高値血圧で、心血管疾患を起こしたことがない『降圧薬治療が考慮されない血圧レベルの患者』でも、降圧薬で血圧を下げるとMACEの初発・再発予防に効果的」という内容です。

 MACEとは、心血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、脳卒中、その他の入院を要する心血管疾患のこと。解析によれば、正常血圧の人でも、収縮期血圧が5㎜Hg低下すると、MACEリスクが10%低下するとのこと。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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