がんと向き合い生きていく

がんではないかと不安になる壊死性リンパ節炎は原因が分かっていない

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある日の夕方、会社員のKさん(28歳・女性)はなんとなくだるくて少し寒けがあり、熱を測ってみたら36・8度でした。いつもはもう少し低いのに……と気になりました。ふと、右の首を触ってみたらリンパ節のような塊が触れ、コロコロしていて触ると痛みがあります。

 触れるのは2、3個で、なんとなく喉の痛みもありますが、口の中を鏡で見ても赤くなってはいません。ひとりアパートで「どうしたことだろう」と心配になって、その日は風邪薬を飲んで床に就きました。

 翌朝、熱は下がりましたが、首を触るとやはりコロッと塊があり、少し痛みもありました。そこで自宅近くの病院に電話をかけ「首のリンパ節が腫れている」と話したら、午前中に来院するように言われました。

 病院に着くと、外科の医師が口の中を診察してくれ、その後は処置室に移って針をリンパ節のところに刺し、注射器で吸引して中身の細胞を調べる検査(吸引細胞診)が行われました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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