最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

ペットがいるから「もっと生きたい」と療養生活を頑張れる

在宅医療ならペットと一緒に生活できる

 ペットと一緒に療養生活を送れる――。これも、在宅医療ならでは。実際、在宅医療を選択した患者さんの中には、自宅でペットを飼っている方が結構います。独居の方では、ペットと離れると寂しくなるし、ペットの面倒を見る者が誰もいないという切実な心配から、在宅医療を選ぶケースが珍しくありません。

 日頃からペットと共に生活を送っている方にとって、ペットとの生活は心の張りとなり、情緒的にも身体的にも良い影響を及ぼします。ペットとの触れ合いでストレスが軽減され、結果として患者さんの生活の質を向上させることにもつながります。特に、高齢者ではその傾向が強い。

 ある意味、ペットも患者さんにとって、在宅医療をサポートするかけがえのない心のパートナーと言えるでしょう。

 私たちが出会った70代前半の女性は、一人暮らしで猫を2匹飼っていました。直腸がんを患い、卵巣腫瘍で子宮を全摘出。「自宅での療養が無理なら、郷里の新潟にある施設に移ろうか」と一時は考えていたそうですが、そうなると猫を預けないといけないため、在宅医療を選んだとのことでした。

1 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事