男性不妊症のすべて

男性患者の診察、診断は具体的にどのように行われるのか

(C)Aramyan/iStock

 精索静脈瘤が不妊の原因になるのは、静脈血のうっ滞によって陰嚢内の温度が上昇し、精巣機能が低下するためだと言われています。

「触診と超音波検査の結果、Aさんには左精索静脈瘤があります。これが精液所見に影響している可能性が高いと思います」

■精索静脈瘤は手術で治療が可能な男性不妊

 男性不妊症外来では、この精索静脈瘤に遭遇するケースが非常に多く、患者さん自身に症状がなく、初めて指摘されるケースがほとんどです。

 患者さんには、精索静脈瘤は左側に多いこと、外科的手術で治すことが可能であることを説明します。ただ、初めての男性不妊症外来で、いきなり手術の話をされたら驚いてしまいます。ですから、精液所見が正常な場合は、奥さんに年齢にもよりますが基本は様子を見ます。ただ、ある程度の期間で妊娠がなければ、手術を検討するようにお話しします。

 精液所見が不良な場合は、奥さんの年齢にもよりますが、手術を積極的に勧めています。男性不妊症の中で、精索静脈瘤だけが外科的治療のみで改善させることができる病気だからです。

 ぜひとも、男性不妊症外来で精索静脈瘤の有無を確認しましょう。

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小林秀行

小林秀行

1975年、東京都生まれ。2000年東邦大学医学部を卒業。卒後研修終了後に東北大学大学院医学系研究科病理病態学講座免疫学分野に進学。医学博士を取得。ペンシルバニア大学獣医学部にてリサーチアソシエイト。その後、東邦大学医学部泌尿器科学講座に復帰。2014年より現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は男性不妊症。noteにてブログ「Blue-男性不妊症について」を配信中。

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