吸血は数日から1週間以上続きます。その間、宿主に気づかれないよう、唾液に混ぜて鎮痛物質や抗炎症物質を繰り出していきます。また宿主の血液が固まってしまっては吸血できなくなってしまうため、それを阻止する必要があります。そこで、抗血小板物質、抗血液凝固物質、抗血管収縮物質など数種類の成分を巧みに操りながら吸血を続けるのです。
それだけなく、より効率よく食事ができるように、口下片の先端に小さな(しかしマダニにとっては十分大きな)血だまりを形成します。ただ、どうやって血だまりを作っているのか、詳細はいまだ解明されていません。
一方、マダニの体内も消化器を中心に全身フル稼働の状態になります。マダニが吸い取る血の量は、体重の約100倍と言われています。それを猛烈なスピードで消化吸収しつつ、自分の体も作っていきます。吸血前には小さかったマダニが、吸血後には驚くほど大きくなっていたという話をよく聞きます。わずか数日の間に一気に成長してしまうのです。その不思議についても、まだよく分かっていません。
あなたを狙う「有毒」動物