あなたを狙う「有毒」動物

病気を媒介するマダニは体重の100倍の血を吸う吸血性のダニ

(C)H_Barth/iStock

 とはいえ吸血と急激な成長に、少なくとも数十種類の物質や酵素を使い分けているのはほぼ確実で、そのため研究者の間では「自然界の薬理学者」と呼ばれているほどです。実際、新しい医薬品のヒントを求めて世界中の製薬メーカーが、マダニの研究を行っています。

■好んで下半身に寄生するカサゴキララマダニ

 マダニには、種類によって好みの寄生場所があることが分かっています。日本紅斑熱などを媒介するヤマトダニは顔に寄生することが多く、とくに眼瞼を好みます。ある日、顔や眼瞼に新しいほくろのようなものができたと思ったら、実はマダニだったということがあります。同じく日本紅斑熱を媒介するカサゴキララマダニは下半身、とくに陰部を好みます。男性の場合、亀頭に寄生された例が数件報告されています。

 とはいえ他のマダニも含めて、全身いたるところに寄生します。山林や緑豊かな公園などに行った後は、入浴のときに全身をよくチェックするべきです。犬や猫の毛にしがみついていたマダニが、家庭内で人に寄生することもありますから、ペットを室内で飼っている人も安心はできません。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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