とはいえ吸血と急激な成長に、少なくとも数十種類の物質や酵素を使い分けているのはほぼ確実で、そのため研究者の間では「自然界の薬理学者」と呼ばれているほどです。実際、新しい医薬品のヒントを求めて世界中の製薬メーカーが、マダニの研究を行っています。
■好んで下半身に寄生するカサゴキララマダニ
マダニには、種類によって好みの寄生場所があることが分かっています。日本紅斑熱などを媒介するヤマトダニは顔に寄生することが多く、とくに眼瞼を好みます。ある日、顔や眼瞼に新しいほくろのようなものができたと思ったら、実はマダニだったということがあります。同じく日本紅斑熱を媒介するカサゴキララマダニは下半身、とくに陰部を好みます。男性の場合、亀頭に寄生された例が数件報告されています。
とはいえ他のマダニも含めて、全身いたるところに寄生します。山林や緑豊かな公園などに行った後は、入浴のときに全身をよくチェックするべきです。犬や猫の毛にしがみついていたマダニが、家庭内で人に寄生することもありますから、ペットを室内で飼っている人も安心はできません。
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