養蚕で知られている桑の木に実る赤や黒紫色の果実は「マルベリー」と呼ばれています。ヨーロッパやインド、北アフリカ・中東など世界中で見ることができ、日本では6月から8月にかけて収穫されます。甘味と酸味のバランスがよいのですが、生マルベリーは、傷みやすく日持ちしないので、日本ではドライフルーツやジャム、冷凍品、果実酒などで目にする機会が多いでしょう。
マルベリーは、数千年前から中国で漢方薬として使われていたことからも、非常に栄養価が高いことがわかっています。特に多いのが、肌の機能保持に必要なビタミンCと、細胞に酸素を運び、貧血予防に役立つ鉄です。また、眼細胞の酸化をストップする働きを持つゼアキサンチンや、目の健康維持に役立つアントシアニン。そして、白内障や黄斑変性症を予防すると報告されているカロテノイドなど、目の健康に関わる栄養素も豊富に含まれます。
暑い日が続いた時、運動の前後、パソコンやスマホを使う機会が多い時に取ることで夏バテや貧血、疲れ目の予防になりますね。時間栄養学の視点で考えると、朝に取ることでこれから日に当たる肌や酷使する目のダメージを最小限にできるでしょう。
また、実だけでなく、注目されているのが桑の葉です。桑の葉を使った健康効果はアレルギー、肝臓保護、美白、肥満などに関わるほか、抗菌、抗ウイルス作用、抗認知症作用、抗うつ作用、抗がん作用など、ここには書ききれないほどさまざまな報告が年々増えていっています。
その中でも、桑の葉に含まれる1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)は、糖の吸収を抑える働きがあります。そのことから、桑の葉における血糖値の上昇を抑える報告が有名になっています。
桑の葉の粉末をおやつと一緒に取った場合、夕食時の血糖値の上昇を抑える「セカンドミール効果」(最初に取る食事=ファーストミールが、次に取る食事=セカンドミールの後の血糖値にも影響を及ぼす効果)が起こるという報告もされているので、夕食時の血糖値を上げたくない方は夕食前のおやつと一緒に桑の葉茶などを召し上がるのもおすすめです。
時間栄養学と旬の食材