Dr.中川 がんサバイバーの知恵

小倉智昭は勃起しないが…男性機能はがん治療でこう変わる

小倉智昭さん(C)日刊ゲンダイ

 その後、医師に「射精神経を切らなかった」と説明されたとのことですが、男性にとっては気になることでしょう。

 私も膀胱がんですが、内視鏡で切除。手術は手術でも、内視鏡は尿道から管を挿入して腫瘍を切除するので、神経を障害しないため、男性機能への影響はありません。

 前立腺がんはどうかというと、手術とホルモン治療が男性機能に影響します。ホルモン治療では男性ホルモンが抑えられるため、性欲が低下。好みのタイプの女性にも関心を持たなくなることも。ホルモン治療でなく手術だと、神経障害で男性機能が損なわれても、性欲は保たれます。

 前立腺がんの手術で見逃せないのは、術後の尿漏れです。手術直後に尿失禁を起こす割合は50%で、多くは尿漏れパッドを使用。3カ月後に使用者は3割に。1年が過ぎると、数%にまで低下するとはいえ、かなりの期間みじめな思いを強いられます。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事