あなたを狙う「有毒」動物

マダニとツツガムシが媒介する6種類の感染症 死亡例も

「野兎病」は野ウサギが減り幻の病気に

■国内致死率22%超「重症熱性血小板症候群」

 日本では2012年秋に、山口県在住の成人女性が発病して死亡し、血液からSFTSウイルスが分離されました。厚生労働省が全国の医療機関に情報提供を依頼したところ、新たに7人がSFTSであることが判明し、しかも最も古いものは2005年であったことが判明しました。患者には海外渡航歴がないことなどから、遅くとも2005年までに日本に侵入していたことが示唆されています。また先の山口県の女性を含む患者8名中、5名が死亡したことも分かりました。2017年前半までに患者数は250症例に達しており、うち56人が亡くなっています(致死率22・4%)。

 マダニ(フタトゲチマダニ、タカサゴキラレアマダニなど)から人に感染しますが、体液を介したヒト―ヒト感染もあります。また全国からウイルス保有マダニが見つかっています(保有率5~15%)。有効な治療法はなく、対症療法が中心になります。

4 / 5 ページ

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

関連記事