コロナ第4波に備える最新知識

ワクチン接種後の「胸痛」にご用心 心筋炎の報告が相次ぐ

子供が危ない
子供が危ない(C)ロイター

 厚生労働省は9日、米ファイザー社製(コミナティ)並びに先月22日から国内接種が始まった米モデルナ社製(モデルナ)の新型コロナワクチン接種後の副反応について検討する専門家の合同部会を開いた。

 医療機関からの報告によると、ワクチン接種回数はコミナティが同30日までに1305万9159回、モデルナが9万241回の計1314万9400回となった。

 今回報告の同16日まではコミナティが657万5255回。2週間で657万4145回増えた計算だ。

 菅首相の「1日100万回接種目標」に応えた形だが、接種回数が増えれば副反応疑い、重篤、死亡が増えるのは当然だ。

 たとえば、副反応疑いの報告件数はコミナティとモデルナがそれぞれ1万658件(男性1911件、女性8728件、不明19件)と17件(男性5件、女性12件)の計1万675件。先月16日まではコミナティの9382件だったから、1293件増えた勘定だ。

 重篤報告数は先月16日までが1052件、30日までが1260件(男性249件、女性1007件、不明4件)となった。

 死亡は医療機関または製造販売業者から今月4日までに計196人報告された。国際基準に基づくアナフィラキシーと判断されたのは、先月30日までに計169件だった。なお、モデルナは重篤・死亡とも報告時点でゼロだった。

 コミナティの副反応疑いの報告頻度を比較すると前回0・14%が今回0・08%と大幅に減少したのは不可解だが、合同部会は重篤者・死亡では前回と大きな差は表れなかったとしてワクチンの安全性については引き続き「重大な懸念は認められない」とした。

 そんななか新たにクローズアップされたのは心筋炎だ。米疾病対策センター(CDC)が10日発表した暫定調査によると心筋炎発症者のうち半数以上が12~24歳で、接種者全体に占める割合は9%未満だったという。また、16~24歳のうち2回目接種後に心筋炎を発症したのは283人で、予想の10~102人を大幅に超過。8割近くが男性だった。日本では先月22日以降、医療機関から5件、製造業者から8件報告がある。

 委員からは「軽度でも後遺症は出る可能性はないのか?」などの声が上がった。専門委員は「ごくまれで、ほとんどが軽症」として、接種後心筋炎で入院した20代男性の例を説明した。血液検査で心筋炎マーカーの数値の上昇は見られたものの器質的変化はなかったという。ただし、「軽度の心筋炎は疑ってかからないと見つけられないため副反応としての心筋炎はもっと多いのではないか」として注視することになった。

 循環器疾患に詳しい医師が言う。

「WHO、CDC共にワクチン接種後の心筋炎は念頭に置くべきとしていますが本格的なデータ収集はこれからでしょう。ただ、ワクチン接種後の心筋炎発症は疑いもない事実。米国の小児科医からは14~19歳の健康な男子7人が2回目の接種後2~4日で心筋炎・心筋心膜炎が出た症例が報告されています。全員胸痛がありましたが2~6日の入院ですべて回復したそうです。欧州の友人の医師はワクチン接種後10日間不整脈が出たと知らせがありました。接種数日以内に生じ、胸痛、動悸、息切れなどの症状が出ます。症状が出ない、不顕性のものも多い可能性はあります。幸い今は頻度も少なく、たとえ症状が出てもステロイドや普通の消炎鎮痛剤の治療で軽快します。ただ、大人なら無視できても、子供の長期的後遺症はわかりません。それゆえ、注意深く子供や青年の経過観察する必要はあるでしょう。胸部症状が出れば早めの検査と経過観察が必要です」

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