性交痛が全然治らない場合、生まれつき処女膜が厚くて破れにくい「処女膜強靱症」を疑うことがあります。そういう人が多いせいか、処女膜強靱症をキーワードにネット検索すると、美容整形外科クリニックがズラリと出てきます。
処女膜強靱症と診断されると、婦人科で保険適用の手術が受けられるのですが、美容整形外科では自費診療のところも珍しくありません。
一方、これまで会った婦人科医たちからは、「処女膜強靱症はめったにいない」「そういう症例を持つ患者に出会ったことがない」と聞きます。めったにいないはずの症例を持つ患者が、美容整形外科に行って手術を希望するのか。これについて考えてみました。
処女膜というと誰もが知る名称。でも、「膣を塞いでいる薄い膜」と認識している人が多いですが、それは間違いです。
処女膜は、決して膣を「塞いでいる」のではありません。膣の入り口近くに位置する伸展性があるヒダで、性交未経験でもタンポンも使えます。
ヒダが囲む穴の形状、大きさ、ヒダの厚さ、伸びはさまざまで、伸びがよければ初体験でも痛くないし、出血もしない。激しい運動や日常行動で破れることもあります。
最近はこういった情報はネットで知ることができるものの、性交痛に悩む人が処女膜強靱症を疑うときには十分な情報ではありません。
処女膜は見える場所にないし、仮に見えたとしてもどれが処女膜か判断しづらい。形状もさまざまというけど何が正常範囲なのかわからない。
図書館で医学書が並ぶ棚から図解付きの生殖器が載っている本を数冊手に取り、処女膜を探してみましたが、短い解説が文中にあるのみ。図は記載なしでした。処女膜強靱症でなくても、患者が手術する・しないを決められる判断材料を探すのは難しい。
処女膜強靱症だと思って、自費で美容整形外科で手術を検討している人は、まずは保険診療で診てもらえる婦人科で処女膜強靱症か診断してもらい、手術が必要か医師に聞くのがベストだと思います。
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