「治療法が豊富なヘフレフにしても、ある段階を過ぎると増悪を繰り返し最期を迎える。回避するには心不全の原因を見つけ、根本的な治療が必要です。着目したのが細胞の生存に必須のエネルギーを産生するミトコンドリアです」
心不全は心筋細胞が肥大化する病気だが、スポーツを続けている人の心臓も運動負荷によって心筋細胞が肥大化している。これはスポーツ心臓といい、病気ではない。
「2つを比較すると、スポーツ心臓のミトコンドリアは正常なのに対し、心不全ではミトコンドリアの数が少なく、形態異常や機能低下が見られました。それによってエネルギーが産生できず、心不全発症につながっていたのです」
もう一点、心不全の原因として注目されているのがDNA損傷への修復機構の活性化だ。細胞に存在するDNAが加齢や活性酸素などで損傷を受けると、体に備わる修復機構が活性化。これが、がん予防になる。