激増する「心不全」 原因の発見が根本的治療へつながるか

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 しかし、がんのない心筋細胞では、DNA損傷への修復機構の活性化が炎症を引き起こし、心不全を増悪し、逆に活性化の抑制が心不全の症状を軽減する。

「心不全の2つの原因はリンクしている。正常な心臓ではミトコンドリアが元気で、エネルギーが産生されている。しかしミトコンドリアの機能不全でエネルギー産生が低下し、心機能が低下すると、ミトコンドリアが頑張って働き、活性酸素が生じる。それがDNAを損傷し、修復機構が活性化し、結果、心不全となるのです」

■特定の遺伝子補充で寿命が大幅に延長

 どうすればこれらを起こさないようにできるのか? 尾池医師らが発見したのが、心筋細胞に豊富に存在するノンコーディングRNA遺伝子(タンパク質に翻訳されずに機能するRNA)で、「Caren(カーレン)」と名付けた。

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