「イライラなさると血圧にも悪いですよ。奥さまががんのことばかりではなく、心まで病気にならないように、旦那さんが気遣ってあげてください。気分を変えるのに、なにか趣味はありますか? リラックスできること、体がゆっくり気持ちがいい状態をつくること。心が病気にならない秘訣です」
それなら、温泉だ。露天風呂がいい。すぐ頭に浮かびましたが、今は電車に乗るのが怖いから温泉にも行けません。私も妻も美術館や仏像巡りが一番の趣味でしたが、それもすべて閉館で行けないのです。
看護師さんが「気持ちがいい状態をつくることが心が病気にならない秘訣」と、それこそ親切にアドバイスしてくれたのはありがたいのですが、これはどうしようもありません。どう考えても、やっぱりまず手術予定日が決まることが先決でしょう。
家に帰って、仕方なしに図書館から借りてきた「心身養生のコツ」(精神科医・神田橋條治著)という本をパラパラめくっていたら、こんなことが書いてありました。心が病気にならないためには、ヨガの死体のポーズで「ちょっと死んでみる」というのです。
がんと向き合い生きていく