医者も知らない医学の新常識

事故の骨折でも骨粗しょう症のように骨折を繰り返すしやすくなる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 高齢化社会で問題となる病気はたくさんありますが、その中でも将来的な寝たきりのリスクになるのは、「認知症」と「骨粗しょう症」です。この2つの病気は決して無関係ではありません。認知症があると危険を体が察知しにくくなるので、転んだりする危険も増しますし、骨粗しょう症があれば、それだけ転んだ時に骨折する危険も増えます。その2つがあると寝たきりになる可能性がより高くなるのです。

 骨粗しょう症で典型的な骨折は、はっきりした外傷(自動車事故や高い場所からの転落など)がないのに起こる骨折です。そうした骨折があると、骨折を繰り返す危険が非常に高くなり、寝たきりになるリスクも増加するのです。

 それでは、事故など明らかな外傷による骨折には、そうしたリスクはないのでしょうか? その点については、これまでのガイドラインでもあまり触れられていませんでした。今年の米国医師会の内科専門誌に、外傷性の骨折とそうでない骨折とを比較した、臨床試験結果が報告されています。閉経後の女性6・6万人余りを調査したところ、外傷性の骨折でも非外傷性の骨折でも、同じように骨折をその後も繰り返すリスクが増加していました。

 中年以降で起こる骨折は、それが事故によるものであっても、運動や食事に注意することが何よりの寝たきり予防になる。そう考える必要があるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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