コロナからの経済再開が本格的に始まっているアメリカで、住宅ブームが起きています。特に、郊外よりもっと外側のエリアで住宅需要が急増し、場所によってはパンデミック前の価格の3割増から2倍という異常事態になっているのです。
昨春、ニューヨークはコロナ患者が激増し、富裕層を中心に南部フロリダなどに逃れる現象が起こりました。しかし今はワクチンを一度でも接種した成人は7割に迫る勢いで、感染も下がり続けています。
では、なぜいま引っ越しかという理由のひとつは、経済再開しても当分の間はリモートという企業が少なくないからです。夫婦2人がリモートワークで子供もオンライン授業となると、もともと狭い都市の住居がますます手狭に。リモートだから少し遠くても自然に囲まれ値段も手頃で広い家に買い替えようという動きが広がっています。
そもそもリモートワークできるのはIT系や大企業勤務など、お金に余裕がある人たち。そこに3回の政府の救済金が入り、旅行や外食、買い物も控えたことで貯金が増えたのも理由です。
そして最大の追い風になっているのが景気対策による歴史的な低金利。金利が上がる前に買わなければ! と買い手が殺到している状況です。
そこで気になるのが、異常な過熱状態の後、前回リーマン・ショックを引き起こしたようなバブル崩壊が起きるのではないかということ。しかし、ほとんどの専門家は否定。前回のサブプライムローンとは違い、いま買っているのは返済能力が保証されている人たちだからです。
しかしこの住宅ブームには副作用もあります。長年借りていた家やアパートを大家が売ったために追い出される人が低所得者を中心に多数出ています。コロナ失業しているのもこうした層で、いまはパンデミックで家賃も滞納免除になっていますが、それがなくなった時にホームレスが大量に出るだろうと懸念されているのです。
アメリカではパンデミックのトンネルを抜けた後、豊かになった層と真逆の層の間で、ますます格差が広がっています。
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