上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

コロナ禍で運動量が激減していたら「腹式呼吸」で心臓を守る

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 10年ほど前、俳優の美木良介さんが考案した「ロングブレス」という呼吸法が大流行しました。「鼻から強く吸って、口で長く吐く」を繰り返す呼吸法です。筋肉を効率的に増やして脂肪を減らす効果があると話題になり、いまも人気です。

 こうした呼吸法はたくさんあって、どれを実践すればいいのかわからないという人も多いでしょう。心臓の健康を維持するためには「腹式呼吸」が効果的です。

 われわれが日常で行っている呼吸は「胸式呼吸」と呼ばれ、胸を動かします。一方、腹式呼吸は胸をあまり動かさず、胸腔と腹腔を区分している横隔膜を上下に動かして、お腹を大きく膨らませたりへこませる呼吸です。横隔膜を大きく動かすため一度に吸う量が多くなり、肺にどんどん血液が送られて血流が良くなります。肺の血流が促進されると、その分、心臓も活発に動くことになり鍛えられるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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