食習慣は健康に影響を与える重要な要素であるとともに、「生活の質」(幸福度や生きがい、人生に対する満足度などを表す概念)にも関わっています。バランスの良い食事が健康的であることはイメージしやすいですけれども、どのような栄養素が生活の質と関連しているのかについては、よく分かっていませんでした。そんな中、ビタミン摂取と生活の質の関連性を検討した研究論文が、栄養学に関する国際誌に2021年3月22日付で掲載されました。
研究では、石川県の志賀町に在住している3162人(平均64歳)が対象となっています。研究参加者に対してアンケート調査を行い、ビタミンの摂取と、身体的および精神的な生活の質との関連性が検討されました。なお、結果に影響を与えうる年齢、性別、喫煙・飲酒状況などの因子について、統計的に補正を行い解析されています。
女性を対象とした解析において、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKの摂取が多いことは、身体的な生活の質が高いことに関連していました。また、精神的な生活の質についても、ビタミンB6、葉酸、ビタミンCの摂取と関連していました。ただし、男性ではビタミン摂取と生活の質に関連性を認めませんでした。
男女間で関連性に差を認める理由について詳しいことは分かっていません。また、ビタミンを多く摂取していた女性では、健康に配慮できる人が多く、もともと生活の質が高い人たちだったのかもしれません。とはいえ、ビタミンの不足はうつ病のリスク増加や認知機能の低下と関連していることが知られています。ビタミン豊富な野菜や果物が不足がちな人は積極的に食べてみるのもよいでしょう。
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