科学が証明!ストレス解消法

ジャンクフードが食べたくなるのは脳機能が低下しているから

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 疲れたときに甘いものを食べたくなるように、無性にジャンクフードが食べたくなる……。そんな瞬間がないでしょうか? かくいう私もお菓子が大好きで、ついつい仕事の合間に手を出してしまいます。

 多くの人が、「自分は疲れているからジャンクフードを食べたくなっているんだろう。だから食べてしまうのは仕方がない」と考えていると思うのですが、「(脳の左背外側にある)前頭前皮質の機能を一時的に低下させると、カロリーが高い食べ物を欲するようになるだけでなく、実食においてもジャンクフードを食べる傾向が高くなる」とは、カナダのウォータールー大学の研究(2018年)です。

 前頭前野を含む前頭葉は、注意力、集中力、判断力などと関係し、感情や欲求を抑制する脳の大切な部位です。そのため前頭葉の機能が低下すると、普段は「悪いからやめよう、我慢しよう」と思っていることについての判断が鈍くなり、我慢ができなくなってしまうのです。

 また、背外側前頭前皮質の機能低下は、ストレスが原因で引き起こされます。つまり、ストレスが蓄積して、脳の背外側前頭前皮質の機能低下が生じると、それに応じて判断が鈍ってしまうというわけです。

 皆さんは、ジャンクフードは太りやすく、健康を考える上であまりよろしくないものだと認識していると思います。「疲れているから仕方がない」と思いたいところですが、実はそうではない。

 疲れたから食べたくなるんじゃなくて、疲れているからジャンクフードに手が伸びてしまう……。普段は体に悪いからやめておこう、我慢しようと思っている抑制のフタが外れてしまった結果、ポテトチップスの袋を開けてしまうのです。

 先の研究は、ジャンクフードを食べたいという気持ちになってしまう原因は、脳の機能低下にあると指摘しています(悲しいかな)。たしかに、ジャンクフードはおいしい。脳にそのおいしさが刷り込まれており、脳が十分に休めていないからこそ、“止まらない”のです。

 考えようによっては、「本来は我慢しなければいけないジャンクフードを食べてしまう=脳が十分なリフレッシュを取れていない」というサインでもあるわけですから、ジャンクなものを食べたくなったら仮眠を取るなど体を休ませた方がいいかもしれません。

 また、どうせ食べるのであれば、「疲れているから」という具合に脳のせいにするのではなく、いっそのこと「私は好きで食べているんだ」と割り切ってはどうでしょうか? 

 自己決定は、自らの幸福度を上げる効果があります。

「この選択は自分を満足させるために好きで食べているんだ」と考えれば、幸福度も高まり、脳も安心感を覚えます。

 罪悪感にさいなまれながら食べると、ますます脳がストレスを抱え、どんどん抑制のフタが外れてしまい、さらにジャンクな食べ物を求める……。心身ともに負のサイクルに陥ってしまう可能性も。食べたいときは自己決定感を持つように!


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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