米バイオテクノロジー「ノババックス」は14日、新型コロナウイルスワクチンの大規模臨床試験で90・4%の有効性を確認したと発表した。9月末までに米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請するという。日本政府は2022年に同社から1億5000万回分のワクチンを購入する方針だが、今年度は「ファイザー」「モデルナ」「アストラゼネカ(国内では当面見送り)」の各社製に頼るほかない。
【Q】一部自治体では今月中にも64歳以下の一般接種が始まる。大規模接種会場で接種する場合ワクチンはモデルナ製だが、自治体の集団接種会場ではファイザー製だ。同じmRNAでもモデルナとファイザーでどんな違いがある?
【A】「ファイザーはマイナス70度の冷凍保存が必要なのに対し、モデルナはマイナス20度あるいは、冷蔵庫でも約1カ月保管ができます。そのため、病院ではモデルナ社が使いやすく、かかりつけ医で受ける場合もモデルナになる可能性もあります。両社とも3万人の治験データを発表していますが、副反応の重症度でいえば、ファイザーは100万人に対して11・1人、モデルナは400万人に10人がアナフィラキシー症状を起こす可能性が指摘されていて、接種後の腕の痛みや発熱症状などはモデルナの方がやや高い。対象を日本人に限ると、慶応大学のグループによる1万人調査があります。その中間発表によると、アナフィラキシーと思われる症状はモデルナで5人、ファイザーではそれ以下となっています」
【Q】ワクチンを打ってはいけない人は?
【A】「基本的に12歳以上、妊娠3カ月以内でなければ受けられます。ただし、高齢者の肺炎球菌ワクチンなど、ほかの予防接種を受けている方は、2週間以上あけてから打ってください。新型コロナワクチン以外であれば、複数のワクチンを同時接種してもあまり問題はなく、有効性がお互いに影響することはない。新型コロナワクチンの場合は治験データがないため、2週間あけることを推奨しているのです。また、特に若い女性や食物などのアレルギーがある人、アナフィラキシー経験者の一部に症状が出るという報告があるため、問診だけでなくアレルギー検査もするとなおよいです」
【Q】アストラゼネカのワクチンが使用されることはあるのか?
【A】「メーカーは有効性が約8割と発表していますが、政府が懸念しているのは血栓症が起こる場合です。接種後に体がだるくなったり、ぼーっとするのが通常の副反応かと思ったら、実は肺塞栓、脳梗塞が発症していたというケースがあります。これは医師の目視では判断しきれない可能性があります。ただし現在のところ、同社製のワクチンを国内で使う予定はないので、心配はいりません」
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