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リウマチは最新治療薬で完治できるのか…薬はやめられる?

写真はイメージ
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 関節リウマチの治療法は、薬物療法を中心として、症状や進行にあわせて、手術療法やリハビリテーションなどを行っていきます。近年では、リウマチの良いお薬がたくさん登場し、痛みだけでなく関節破壊の進行を止めることもできるようになってきています。

 リウマチと診断したらまず「メトトレキサート」という飲み薬を提案しています。基本薬で活性化された葉酸の産生を抑制させます。関節で暴れている免疫細胞をコントロールし、痛みや骨の破壊を抑えます。

 日本では1999年に抗リウマチ薬として保険適用となっています。薬代も3割負担で、月々かかる費用は2000~3000円ほどと経済的。5割以上の患者さんが効果を実感されると言われています。ゆっくり効果が出てくることと、少しずつ量を増やしていく薬になりますので、3~6カ月の長い目で効果を見てください。また、腎臓や肝臓や肺が悪い方、妊娠希望の方などは使えないので注意しましょう。

 次に、メトトレキサートで効果が不十分な方や使えない方は、他の飲み薬を追加したり、「生物学的製剤」または「JAK阻害薬」を処方しています。生物学的製剤には炎症を悪化させるサイトカイン(IL―6、TNFα)の働きを妨げるもの、T細胞の働きを抑えるものの3種類の薬があります。サイトカインとは体のバランスをとるためのタンパク質ですが、関節リウマチの患者さんの関節の中では炎症を引き起こすタイプのサイトカインが増えすぎることで、免疫の細胞が関節の中で暴れています。3種類の薬はいずれも注射による投与で、投与の間隔は薬の種類によって、週2回から2カ月に1回と異なります。

 また「JAK阻害薬」のJAKとは、サイトカインの情報を細胞内に伝えるために働く酵素群(キナーゼ)のひとつ、ヤヌスキナーゼ(Janus kinase)の略称です。JAK阻害剤はリウマチに関係する複数のサイトカインの情報が細胞内に伝わるのを阻害して、炎症を抑える働きをしています。どの治療薬も結核や肺炎などの感染症には注意が必要で、定期的に診察を受けることが大切です。月々の自己負担額は2万~4万円程度と高額になりますが、最近では生物学的製剤の後発品も登場しており、先発品の6割(2万円前後)の薬剤費となっています。残念ながらリウマチはまだ完治はできません。しかし、最新治療薬を継続していくことで、痛みや骨の破壊などをかなり抑えることができ、今まで通りの生活に近づくことができるようになってきています。

▽佐藤理仁(さとう・みちひと) 昭和大学医学部卒業、2009年昭和大学病院臨床研修修了。同年4月から昭和大学病院リウマチ膠原病内科、12年から日本赤十字社医療センターリウマチ膠原病内科、13年埼玉メディカルセンターリウマチ膠原病内科を経て、16年9月にさとう内科ファミリークリニック院長。18年11月から、医療法人さとう埼玉リウマチクリニック理事長を務める。

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