身近な病気の正しいクスリの使い方

食事が取れなくなってきた…病気でなくても医療機関に相談を

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 人口の28%が65歳以上という超高齢化社会の日本において、人口減少や介護問題、医療費の圧迫などヘルスケアに関わる課題が深刻化してきています。加齢に伴って、体のさまざまな機能が低下したり、病気になったりするのは仕方のないことではありますが、できることなら健康であり続けたいと誰しもが思いますし、医療者もみな「健康を守りたい」と考えています。

 加齢によって筋力が低下したり、活動性の低下を指す言葉として知っておきたいのが、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」「フレイル」「サルコペニア」です。

 ロコモは日本整形外科学会が提唱している言葉で、運動器の機能が低下し移動機能が低下した状態を指し、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を併発しているケースが多いとされています。

 フレイルとは「加齢により心身の活力が低下した状態」を表し、日本老年医学会が提唱している体の状態を指す言葉です。寝たきりや要介護予備群を指しています。

 サルコペニアは筋肉量の低下を指す言葉です。いずれも、高齢になれば注意が必要な状態で、転倒や骨折、寝たきりのリスクになります。

 対処法としては、適度な運動を継続することや食生活を整えて栄養状態を維持することが大切です。年を取って食事の量が減ってきた場合などは、医療用医薬品としての「経腸栄養剤」(ラコールやエンシュアなど)で栄養を補うこともあります。

 しっかりと必要な栄養を摂取することが健康を保つ基本です。病気ではなく「食事が取れなくなってきた」という場合でも、早めに病院または薬局に相談することをおすすめします。こうした相談が医療機関を訪問しなくても気軽にできるようになるように、社会のインフラ整備や遠隔診療が広く普及してくれることに期待しています。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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