がんと向き合い生きていく

現場を見れば「困難な時代だからこそ五輪開催」とは言えなくなる

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 志村けんさん、岡江久美子さん、岡本行夫さん、神田川俊郎さん、勝武士さん、国会議員の羽田雄一郎さん……。新型コロナウイルス感染症は、日本ではおよそ78万5000人が感染し、老人だけでなく、若い人、元気で死ぬはずのない人も含め1万4426人が亡くなっています。中には入院も出来ずに自宅で亡くなった人が500人以上もいます(6月20日現在)。

 内閣官房参与の某氏は、コロナ感染状況を「さざ波」「屁のようなもの」と言ったそうですが、お相撲さんも国会議員も「さざ波」や「屁」で亡くなったわけではありません。

 水泳の池江璃花子さんをはじめ、がんなど病気を克服してオリンピック・パラリンピックの代表になった選手がいます。白血病やがんの病床から復帰し、アスリートとして競うまで復活するには大変な努力が必要だったと思います。私はこれらの選手の活躍を期待し、オリンピック・パラリンピックを楽しみにしていました。

1 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事